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【胎児治療体験記】赤ちゃんとのお別れ(8)

赤ちゃんとのお別れの経緯

※この記事は過去に書いたものです。
手を入れるとその当時に感じた気持ちなども
こぼれおちてしまいそうなので
できるだけ当時の記載のまま掲載しています。
感情的な部分や稚拙な部分もありますが、
ご了承ください。

また、この赤ちゃんとのお別れの記事は
生理的に受け付けないという方もいると
思うので、
注意事項5をご参照いただいて
ご了承の上お読みいただきたいと思います。

記事記載日: 2009年06月25日

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長く短い5日間(8)~待っていてくれたもの~

前回の日記 の続きです。

そんなわけで、父の知り合いの
葬儀社さんが来るのを待って、
退院することになりました。
業者さんを待っている間に
、A先生がご挨拶にみえました。

前に、健診のときに
A先生に診てもらえてよかったです、
と言ったときに、
「それは赤ちゃんが
無事に産まれてからにしてください」
と言われたことがあります。

ここまで元気に大きくなれたことが
うれしかったのに、
お礼も言わせてもらえないんだなあって
ちょっとさみしい気持ちになったことを
よく覚えています。

でも、赤ちゃんの病状が
決して楽観できるものではないと
解ってのことだったので、
真摯な態度だったといまは思います。

結果、このような形で
赤ちゃんは命を落としたけれど、
A先生に診ていただけたことは
本当によかったと思っていたので、

「A先生に診ていただけて
本当によかったです。
いままでありがとうございました」

と言いました。

A先生は目を伏せて、
力が及ばず申し訳なかったです、
と仰りました。

入院中に部屋付になった助産師さんたちも、
赤ちゃんの顔を見てくれたり、
「お父さんに似てますね」
なんて言ってくれたり、
名前を聞いてくれたり、
赤ちゃんのために泣いてくれたり。

ほとんどのかたが
赤ちゃんをいたわってくれました。

仕事中に泣く助産師さんはどうなの?
って考えかたのひともいるかもですが、
わたしはうれしかったです。

Eさんも入院中に病室に来て、
赤ちゃんのために泣いてくれました。

たまに赤ちゃんに目もくれず
事務的な対応しかしないひともいて、
すこしさみしかったけれど、
元々勤務態度が悪いひとはともかく、
むやみに感情移入をしないように
配慮してくださったのかも、と、
いまは思います。
ひとの優しさのかたちはいろいろですし。

退院の日はEさんはおやすみの日で、
葬儀社さんを連れてきて
退院のための案内をしてくれた
助産師さんに
わたしによろしく伝えてほしいと
言ってくれていたようでした。

入院中、いろいろなことがありましたが、
こうして書いていると
たくさん配慮していただいていたなあと
本当にありがたく思います。

葬儀社さんが来て、
お棺を病室に運ぶのは大変なので
だっこして退院することになりました
(それだけじゃなく、
他の妊婦さんがお棺を見たら
ショックを受けると大変というのも
あってのことかもですね)。

でも、赤ちゃんが亡くなっているから
普通の病棟の出入口は使えないと言われ、
通用口からの退院になったのが、
ちょっと辛かったです。

助産師さんに案内され、
うす暗い通路を通って通用口へ。
扉をあけたときの太陽の光のまぶしさに
圧倒されました。

「お大事に!」と、助産師さんは
よく通る声で見送ってくれました。

葬儀社さんの車に乗って、
T大をあとにしようとしたそのとき。

遅咲きの桜が、目に飛び込んできました。

7回目の手術が決まったときに見た、
ビルの陰の桜でした。

盛りをすぎた桜は、
それでも散らずに待っていてくれました。

ああ、咲いたんだ、って思いました。

この桜がちゃんと咲いたように、
わーちゃんも咲いたんだ、って。

結果としては命を落としてしまったけれど、
がんばってがんばって、
一生懸命咲いたんだって思いました。

『わーちゃん、桜が咲いてるよ。
あのとき一緒に見た桜が咲いたんだよ。
きれいだねえ。本当に、きれいだねえ』

赤ちゃんに桜が見えるように
向きをかえてあげて、
何度も何度も腕の中の
赤ちゃんに話しかけました。
涙をとめることができませんでした。

に続きます。

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