※この記事は過去に書いたものです。
手を入れるとその当時に感じた気持ちなども
こぼれおちてしまいそうなので
できるだけ当時の記載のまま掲載しています。
感情的な部分や稚拙な部分もありますが、
ご了承ください。
記事記載日: 2009年05月29日
赤ちゃんの治療(15)~羊水じゃない羊水検査~
昨日の日記 の続きです。
とりあえず手術は無事に終わり、
退院できるのかなって思ってましたが、
そんな話が出る気配はなく。
まあ、ママさん仲間ができたので、
おしゃべりする相手もできて
それなりに楽しく
入院生活を送っていました。
そんななか、
意外な話を聞くことになりました。
羊水検査の結果についてです。
実は、1回目の手術のときの
羊水検査の結果は、
ほぼ染色体異常の可能性はないと
考えられる、
という内々の結果をいただいていました。
何があっても産みたいと思っていた
母親のわたしと違い、
ダンナはその結果を聞いて
ほっとした部分は大きかったようです。
生まれてきても苦しむことがわかっている
短い命だとしたら、
こうして手術を重ねて産むことが
本当に赤ちゃんの幸せにつながるのかと、
ダンナは父親であるがゆえに
考えていました
(しかも、手術のときに麻酔できる
わたしと違い、
赤ちゃんは麻酔もなく手術の痛みに
さらされていたわけですし)。
また、主治医のA先生からは、
人工死産という選択肢についても
何度か話をされていました。
A先生が診察した限り、
わたしの赤ちゃんと同じ症状の
赤ちゃんの症例は今までに3例。
そしてその赤ちゃんのご両親は、
3組とも人工死産という選択肢を選ばれた、
とも言われていました。
胎児手術がわたしの命に
かかわることはないと言われていましたが、
手術には痛みもあるし、
負担がまったくないわけじゃありません。
わたしの体のことも考えてくれていた
ダンナは、
必ずしも、何が何でも産むという姿勢では
ありませんでした。
それでも、わたしたち夫婦は、
最終的に産むことを選びました。
ダンナの背中を押した要因のひとつに
染色体異常の可能性はないという
結果があったことは間違いありません。
それだけに、A先生が診察のときに
急に仰ったこの一言は、
驚きに値するものでした。
『羊水検査の結果ですが、
羊水でないと確定結果は出せないという
検査機関からの返答がありました。
検査費用の返金の話が、
近いうちに検査機関からあると思います』
どういうこと?
それはもしかしたら、
染色体異常の可能性があるっていうこと?
そうだとしたら、検査の結果を踏まえて
わたしを後押ししてくれた
ダンナの気持ちはどうなるの?
諦めるなんて
わたしには到底考えられなかったけど、
この赤ちゃんは
わたしだけの子どもじゃない。
ダンナとちゃんと二人で納得するかたちで
産むという決断をして、
二人でちゃんと気持ちをひとつにして
育てたい。
その前提が、崩れてしまうということ?
ちなみにこの時点で、
もう22週は過ぎていました。
諦めるという選択肢は、
わたしのなかにはなかったし、
ダンナのなかにもそう大きなものでは
なかったかもしれないけれど、
自分たちで選んだ選択肢と、
選ばされた選択肢とでは全然違う。
どんなに今はがんばろうって思っていても、
現実はきっと、
そんな綺麗事じゃ乗り越えられない。
自らの意思で選んでも
簡単なものではないこの選択を
選ばされたものとして
突きつけられたとしたら、
本当に辛いときに乗り越えていく力を、
わたしたち夫婦は
ふりしぼることができるだろうか?
そう思うと、
こころがきしんでいくような気がしました。
次 に続きます。
蛇足
染色体異常のお子さんをお持ちの
ご両親もいらっしゃると思います。
お気を悪くされたら本当にごめんなさい。
ご両親の苦しみは、
経験していないわたしがわかるなんて
おこがましいことは言えません。
また、人工死産障害を理由とした中絶
という選択肢を
否定する気もありません。
わたしにも、
まったく迷いがなかったわけでは
ありません。
ただ、どうしてもおなかで
がんばって生きている赤ちゃんを
自らの手で喪うことが
できなかっただけのことです。
…なんて書くと、
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、
実際、手術で苦しい思いを
たくさんさせて赤ちゃんを喪ったいま、
赤ちゃんにとって
胎児治療が本当にいいことだったのかは
わかりません。
わたしのわがままで、
赤ちゃんに苦しみの時間を
長引かせただけなのかもしれません。
この葛藤は、死ぬまでこころのどこかに
抱えて生きていくのだと思っています。
2015年10月19日追記
蛇足部分について表記を修正しています。
A先生は広義に人工死産という言葉を使われ
その選択肢を示唆されていましたが、
わたしのケースは厳密には人工死産には
当たらないのではないかと思うためです。
参考:人工死産
第一子を亡くしてから、
死産や誕生死を経験されたママ
(以下『天使ママ』と記載します)と
交流するようになりました。
子どもを亡くしたことがある人にしか
共有できない感情があります。
天使ママさんと交流をする中で、
人工死産をされた天使ママさん達とも
お友達になりました。
本当にどうやっても助けられない我が子を
選択の余地などなく人工死産された
天使ママさん達です。
わたしの場合は胎児治療をした場合は
僅かでも助かる可能性があって、
治療をできる可能性が残されていて。
生存可能性があるのとないのとを
ひとくくりにするのは乱暴で
人工死産された天使ママさんに
配慮が足りないように思うため、
表記を修正しました。
違いが明確にわかる記載を
した方がいいと思うため
あえて前の表記を残しています。
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